内壁に開いた穴を補修し、その上から壁紙を貼る工事は、「穴を塞いで、新しい壁紙を貼るだけ」と、一見簡単そうに思えます。しかし、美しく、そして長持ちする仕上がりを実現するためには、非常に多くの専門的な技術と判断が必要とされます。特に、その後の壁紙の貼り替え工事では、施主様の希望と現場の現実との間で、様々な難しい選択を迫られることになるのです。


 

️内壁の穴補修が難しい理由:下地処理の重要性

 

穴補修の難しさは、ひとえに下地処理の緻密さにかかっています。

 

1. 下地の破損状況の見極め

 

ただ壁紙が破れただけでなく、その下にある石膏ボードなどの下地材まで破損している場合が多くあります。穴が小さいからといって安易に補修材を詰めるだけでは、表面が平滑にならず、その上から貼った壁紙に凹凸が浮き出てしまいます。特に、大きな穴や、下地が広範囲にわたって損傷している場合は、破損部分を切り取り、新しいボードをはめ込むなど、大掛かりな下地調整が必要になります。

 

2. パテ処理と平滑性の確保

 

新しい壁紙を美しく貼るためには、下地を完全に平滑にすることが絶対条件です。プロの職人は、破損部や下地の継ぎ目、小さな段差などを専用のパテで丁寧に埋め、乾燥させては削る作業を繰り返し、鏡面のような滑らかな面を作り出します。このパテ処理が不十分だと、光の当たり方によっては壁紙の裏から下地の凹凸や補修跡が透けて見え、「下地が映る」という残念な仕上がりになってしまうのです。この繊細な作業こそが、仕上がりの美しさを左右する、最も重要な工程と言えます。


 

壁紙貼り替え工事の三つの難題と選択

 

穴の補修が終わった後、いよいよ壁紙の貼り替えに進みますが、ここで施主様と施工業者との間で、解決すべきデリケートな問題が浮上します。施主様が「どこまで」を許容するかによって、工事内容と費用が大きく変わってきます。

 

1. ①柄の「廃盤」問題

 

まず直面するのが、既存の壁紙がすでに廃盤になっているケースです。

  • 施主様の希望がNGの場合:

    • **「既存と同じ柄」**を強く望まれる場合、その壁紙は手に入りません。

    • この場合、穴の開いた部分だけでなく、**壁一面全体(または部屋全体)**の貼り替えを提案せざるを得なくなります。全く違う柄や色に変わることを受け入れていただくか、貼り替え範囲を広げるかの選択となります。

 

2. ②「新旧の色褪せ(色差)」問題

 

運良く既存と同じ壁紙の品番が見つかったとしても、次に色の差という問題が生じます。

  • 既存の壁: 長年の紫外線や生活の営みにより、微妙に色褪せしたり、黄ばみが生じています。

  • 新しい壁紙: 製造されたばかりの新品の色です。

新しい壁紙を一部分だけ貼ると、元の壁との間に**「色ムラ」「ツギハギ感」が明確に出てしまいます。この新旧の差**を許容できるかどうかが、工事の範囲を決める重要なポイントになります。

 

3. ③貼り替え範囲の「境界線」問題

 

上記①②がNG、つまり「色や柄の違いは受け入れられない」という場合、現実的な選択肢は**「貼り替え範囲を広げる」**ことになります。

  • 基本の範囲: 穴が開いた壁一面を貼り替えることで、少なくともその面の中では色や柄が統一され、美しく仕上がります。

  • 完璧を求める場合: 部屋全体の色差が気になる場合は、部屋のすべての壁を貼り替える「全面貼り替え」が必要になります。費用はかさみますが、最も満足度の高い仕上がりになります。


 

一部分貼替特有の「厚さの差異」という盲点

 

さらに、一部分の貼り替え、特にジョイント部分(継ぎ目)で目立ってしまうのが、厚さの差異です。

  • 糊残りの影響: 既存の壁紙を剥がす際、下地には元の壁紙の裏紙糊の跡が残ります。この糊や裏紙の厚さが、剥がした部分と残した部分で均一でないと、新しい壁紙を貼ったときにわずかな段差が生じてしまいます。

  • 壁紙自体の厚さ: 既存の壁紙が分厚いタイプだった場合、新しい壁紙の厚さが異なると、ジョイント部分でやはり微妙な段差ができてしまうことがあります。

プロの職人は、このわずかな段差を解消するために、糊の塗布量を調整したり、下地処理をより入念に行ったりしますが、それでも完璧に消すのは至難の業です。この「厚さの差異」は、職人の腕だけでなく、既存の下地の状態にも大きく左右される、プロでさえ頭を悩ませる問題なのです。


まとめ:単なる「修理」ではなく「化粧直し」

 

内壁の穴補修と壁紙の貼り替えは、単に穴を塞ぐ**「修理」ではなく、お部屋の美観を取り戻す「化粧直し」です。美しく仕上げるためには、緻密な下地処理が不可欠であり、その後の貼り替えでは、廃盤、色褪せ、厚さの差異といった問題をクリアするために、施主様と業者との間でしっかりとした意思疎通と納得**が必要になります。

「簡単そう」な工事の裏側には、美観を追求する職人の高い技術と、多くの難しい判断が隠されているのです。


★☆★★☆★★☆★★☆★★☆★

住まいに関するどんなことでも
お気軽にご相談下さい!

リフォコは24時間365日対応で、住まいのお困りごとに安心対応!

緊急トラブルの対応から、住まいのどんな小さなお困りごと

(修繕・リフォーム)まで対応、まずはご相談下さい。

株式会社リフォコ
本店:浜松市南区三島町522
豊橋店:愛知県豊橋市富本町22−3
 
TEL 053-444-0010
FAX053-444-0011
窓玄関リフォーム専門店
リフォマド
ガラス緊急修理対応専門店
リフォマド
壁床天井リフォームの専門店
リフォユカ
島コのDIY教室